ミュージカル「梨泰院クラス」開幕、パク・セロイ役の小瀧望が共演者の言葉に「じーん」

小瀧望が主演を務めるミュージカル「梨泰院クラス」が、昨日6月9日に東京・東京建物 Brillia HALL（豊島区立芸術文化劇場）で開幕。同日、フォトコールと囲み取材が行われた。

韓国のカカオウェブトゥーンで連載されたチョ・グァンジンのマンガ「梨泰院クラス」は、厳しい環境の中でも妥協せず、自力で成功を成し遂げる青年パク・セロイの物語。韓国では2020年にテレビドラマ版が放送され、日本でも人気を博した。初のミュージカル化となる今回は、脚本を坂口理子、演出を小山ゆうな、歌詞・構成をイ・ヒジュン、音楽をヘレン・パーク、振付をカイル・ハナガミが担当。セロイ役の小瀧のほか、“社会病質者（ソシオパス）”の高校生チョ・イソ役の和希そら、sara、セロイの初恋の相手であるオ・スア役の梅澤美波、川口ゆりならが出演する。

フォトコールではまず冒頭の約13分間が上演された。ステージ後方にはレンガ模様の壁がそびえ立つ。その手前には、アップダウンが激しい韓国の街の中を表すかのように、可動式の大きな階段がいくつもある。またステッカーやチラシが多数貼られた電柱や、繁華街を連想させる電飾が設置された。オープニングではそれらを背景に、アンサンブルが酒瓶のケースの上に立って迫力のあるダンスを披露。多種多様な人々が集う、梨泰院という街のエネルギーが、息の合った群舞で表現された。

続く学校の場面では、いじめを見過ごせず、チャン・グンウォン（秋沢健太朗）に手を上げてしまったセロイが退学処分となる。加害者の父であり、大手飲食チェーン長家の会長でもあるチャン・デヒ（佐戸井けん太）に土下座での謝罪を迫られても、信念を貫くセロイの芯の強さを、小瀧が力強い歌声で表現した。

フォトコール後半には、1幕のラストシーンも披露された。セロイが梨泰院に開いた店クルバムは成功し、飲食業界のトップとなって長家を潰すというセロイの目標が実現に近付き……。このシーンではセロイ、イソ、チャン・グンス（新原泰佑）、マ・ヒョニ（土井ケイト）、チェ・スングォン（吉田広大）というクルバムのメンバーが、歌いながら手を取り合って次々に階段を昇降することで、セロイたちがさまざまな苦難を乗り越えていくことを想像させた。

囲み取材には小瀧をはじめ、和希、sara、梅澤、川口が出席した。世界初演となる本作について小瀧は「初演の大変さを痛感した2カ月でしたが、闘いの成果をお届けできる高揚感にあふれています」と語る。セロイの特徴的なヘアスタイルを「気に入っている」という小瀧は「とにかく原作を読み込みました。ドラマ版のパク・ソジュンさんのセロイが素晴らしいですが、僕は僕なりにミュージカル版のセロイ像を作りたい」と役作りについて述べ、「オープニングの振付が素晴らしい。冒頭から皆さんの心をわしづかみにしたい」と見どころをアピール。上演に向けては「この舞台には“ここにしかない良さ”が詰まっている。楽しんでいただけるようがんばります」と意気込みを語った。

和希は「どうすればお客様の目にイソが可愛く魅力的に映るか？と試行錯誤できることがうれしかった」と話し、「視覚でも聴覚でも心でも楽しめる舞台。実際に梨泰院に来たかのような空気を味わってもらえたら」と語る。取材の前日に行われたゲネプロを振り返り、saraは「原作ファンとして楽しみました。舞台ならではの魅力がある作品になっていると思います」と出来栄えに自信をのぞかせ、「これは今を生きる私たちの物語で、友情、成長、恋愛、何を信じどう生きるかなど、さまざまなテーマがあります。舞台上で生き、悩み、闘う登場人物たちと一緒に、お客様も豊かな時間を共有できるのでは」と言葉に力を込めた。

梅澤は「この作品は“人間臭さのオンパレード”。どのキャラクターも葛藤しながら生きていて、その様子がすごく愛おしいです。登場人物の弱い一面に共感してもらえると思いますし、1人ひとりに感情移入してほしい」と語る。ミュージカル初挑戦の川口は「緊張している」と打ち明けつつ、「（原作やドラマ版の）私の推しはスア。役をいただいたときは不安でいっぱいでしたが、『やってやるぞ！』という気持ちにもなりました」とこぶしを握る。

会見では共演者が小瀧の印象を語る場面も。梅澤は「小瀧さんが自然体でいてくれたので、稽古場は和やかでした。それに小瀧さんは褒められると顔が耳まで赤くなるので、そのピュアさがセロイっぽいです（笑）」とエピソードを明かす。またsaraが「小瀧さんは疲れを見せない。常にフラットな雰囲気で“真ん中”に立っていてくださいます」と小瀧を称賛すると、小瀧は「じーん……」と言いながら胸に両手を当ててみせ、報道陣を和ませた。

上演時間は休憩を含む2時間50分を予定。東京公演は6月30日まで。その後7月6日から11日まで大阪・東京建物 Brillia HALL 箕面（箕面市立文化芸能劇場） 大ホール、18日から21日まで愛知・アイプラザ豊橋でも上演される。

ミュージカル「梨泰院クラス」

2025年6月9日（月）〜30日（月）
東京都 東京建物 Brillia HALL（豊島区立芸術文化劇場）

2025年7月6日（日）〜11日（金）
大阪府 東京建物 Brillia HALL 箕面（箕面市立文化芸能劇場） 大ホール

2025年7月18日（金）〜21日（月・祝）
愛知県 アイプラザ豊橋

スタッフ

原作：チョ・グァンジン「梨泰院クラス」（KAKAO WEBTOON Studio）
脚本：坂口理子
歌詞・構成：イ・ヒジュン
音楽：ヘレン・パーク
演出：小山ゆうな
振付：カイル・ハナガミ

出演

パク・セロイ：小瀧望
チョ・イソ：和希そら / sara
オ・スア：梅澤美波 / 川口ゆりな
チャン・グンス：新原泰佑
マ・ヒョニ：土井ケイト
チェ・スングォン：吉田広大
チャン・グンウォン：秋沢健太朗
パク・ソンヨル：浅野雅博
チャン・デヒ：佐戸井けん太
篠山輝信 / 塚本直 / 長谷川開 / 大久保芽依 / 岡田治己 / 小熊綸 / KATSUHIRO（5IN） / 加藤翔多郎 / 川本アレクサンダー / 輝生かなで / 鈴木良一 / 永松樹 / 西尾真由子 / yume / RIO / 木暮真一郎（スウィング）